ネクストモバイルの魅力は「使い放題」でありながら、使いやすい「ソフトバンクマルチUSIM」で提供されている、という点です。
ソフトバンクのSIMフリースマホ向けのサービス「ソフトバンクマルチUSIM」によりいろんなSIMフリー機器で使えて、さらに使い放題という点です。
今回、ネクストモバイルの「使い放題プラン」を自宅のネット回線としても使いたい、と思い、手持ちのホームルーターでいろいろと検証してみました。
ネクストモバイル「使い放題プラン」でやってみたいこと
自宅でも固定回線の代わりに使いたい
2019年11月より、ネクストモバイルから待望の「使い放題プラン」が提供開始されました。
そもそも、ネクストモバイルはWiMAXのように「3日で10ギガ」という短期での使いすぎによる速度制限などが一切ない高速通信サービスです。これが「使い放題」になったことで、「自宅でもネクストモバイルを使いたい」「できれば固定回線(光回線)は解約したい」という思いが出てきます。
モバイルルーターのバッテリー劣化を防ぎたい
しかし、外出先でも自宅の中でもネクストモバイルのモバイルルーター(FS030W)を使っていると、ずっとバッテリー充電中となりバッテリーの劣化が気になります。
モバイルルーター「FS030W」はバッテリーを外した状態でもUSB給電しながら通信することができますが、これも少し面倒・・・
また、自宅内ではモバイルルーターよりも安定して電波がつかめるAC電源を使ったホームルーターで使いたいものです。
手持ちのホームルーターで使いたい
私はWiMAX2+も併用して使用しているので、自宅にはWiMAX2+用ホームルーターの「Speed Wi-Fi HOME L01s」を所有しています。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」はWiMAX2+向け専用のホームルーターですが、SIMロックがかかっていない「SIMフリーホームルーター」です。また、有線LANポートも2ポートあるし、Wi-Fi機器の接続台数も最大40台までと性能も十分です。
この「Speed Wi-Fi HOME L01s」をネクストモバイルで利用できれば、外出先でも自宅でも安定してネクストモバイルで運用できます。
よって、使い放題のネクストモバイルをWiMAX2+ホームルーター「Speed Wi-Fi HOME L01s」でどこまで使えるのか?を検証してみたいと思います。
Speed Wi-Fi HOME L01sとは
「Speed Wi-Fi HOME L01s」とは、WiMAX2+を契約するともらえるWiMAX2+向けのホームルーターです。WiMAX2+向けのホームルーターですが、SIMロックがかかっていない「SIMフリールーター」であることが特徴です。
白い円筒状の少しおしゃれなデザインで、「置くだけ簡単WiFi」として自宅ネット回線の代わりとしても人気のホームルーターです。
WiMAX2+を契約によりもらえるという以外にも、Amazonなどでも新品・中古品が安価で多く販売されていて入手しやすいのが魅力です。
Speed Wi-Fi HOME L01/L01s | UQコミュニケーションズ
Speed Wi-Fi HOME L01sの対応周波数
「Speed Wi-Fi HOME L01s」はWiMAX2+向け専用ルーターなので、当然ながらWiMAX2+の電波とau 4G LTEの電波が利用できます。
ただし、それ以外の対応周波数については一切情報公開されておらず、ネクストモバイルが使う「ソフトバンク4G/4G LTE」の電波に対応しているのか気になります。
WiMAX2+の周波数帯およびソフトバンクの周波数帯は以下のようになっています。
複合方式 | BAND | 周波数帯 (MHz) | WiMAX2+ | Softbank |
---|---|---|---|---|
FDD-LTE | BAND1 | 2100 | 〇 | 〇 |
BAND3 | 1800 | 〇 | 〇 | |
BAND8 | 900 | × | ◎ | |
BAND11 | 1500 | 〇 | 〇 | |
BAND18 | 800 | ◎ | × | |
BAND26 | 850 | 〇 | × | |
BAND28 | 700 | 〇 | 〇 | |
TDD-LTE | BAND41 | 2500 | 〇 WiMAX2+ | 〇 AXGP |
BAND42 | 3400 ~3600 | 〇 | 〇 |
「Speed Wi-Fi HOME L01s」は当然ながらWiMAX2+の使う電波には対応しているはずですが、ソフトバンクのプラチナバンドである「BAND8」はWiMAX2+の周波数帯ではありません。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」がソフトバンクのプラチナバンド「BAND8」に対応しているかどうか、非常に気になる所です。
一方で、スマホの電波「BAND1(2,100MHz帯)」や大容量データ通信に強い「BAND41/42(WiMAX/AXGP)」には対応しているはずです。
この点を考慮しながら、ネクストモバイルの「ソフトバンクマルチUSIM」を「Speed Wi-Fi HOME L01s」で検証していきます。
ネクストモバイルのSIMとAPN設定
ソフトバンクマルチUSIMの設定
「Speed Wi-Fi HOME L01s」にはWiMAX2+のSIMを刺して使用しています。このSIMをネクストモバイルの「ソフトバンクマルチUSIM」に差し替えます。
SIMの差し替えは簡単で、「Speed Wi-Fi HOME L01s」の底面からWiMAX2+のSIMを抜き取り、ネクストモバイルのSIMを差し込むだけです。
APN設定
「Speed Wi-Fi HOME L01s」はWiMAX2+専用ルーターなので、最初からWiMAX2+用のAPN(アクセスポイント)情報は設定されています。
一方で、「Speed Wi-Fi HOME L01s」をネクストモバイルで使用する場合、ネクストモバイルの「ソフトバンクマルチUSIM」用のAPN(アクセスポイント)情報を設定する必要があります。
「ソフトバンクマルチUSIM」のAPN情報は、ソフトバンクの公式ホームページで公開されており、以下のようになります。
プロファイル名 | 任意の名前(Softbank4G)など |
---|---|
APN(接続先情報) | plus.4g |
ユーザー名 | plus |
パスワード | 4g |
認証タイプ | CHAP |
IPタイプ | IPv4 または IPV4 & IPV6 |
他社が販売する携帯電話をソフトバンクで利用する | ソフトバンク
このAPN情報を「Speed Wi-Fi HOME L01s」の管理画面より設定していきます。
SIMを差し替え、APN情報を登録すると準備は完了です。
接続ステータスの確認
管理画面の「ステータス」を見ると「接続ステータス」が「接続」となっており、ちゃんとネクストモバイルのSIMを認識して通信できる状態になっていることがわかります。
これで準備完了、通信オッケーの状態です。
SIMを認識しない場合は「ハイスピードプラスエリアモード」に設定
もしSIMカードを認識しない場合には、いったん通信モードを「ハイスピードプラスエリア(HS+A)モード」に切り替えて再起動してみてください。
特に「Speed Wi-Fi HOME L02」では純正SIM(WiMAX2+用SIMカード)以外のSIMカードの場合には、一度ハイスピードプラスエリアモードにしてあげないとSIMカードを認識しないようです。
ネクストモバイルをWiMAXホームルーターで使ってみる
ハイスピードモード
では、早速WiMAXホームルーター「Speed Wi-Fi HOME L01s」でネクストモバイルを使ってみましょう。
まずはそのまま「速度測定」してみました。
下り:30Mbps程度
夕方16時の通信混雑時間帯となりますが、十分な速度が出ています。
なお、この状態の「Speed Wi-Fi HOME L01s」の通信モードは、WiMAX2+の標準通信モードである「ハイスピードモード」に設定されています。
ハイスピードプラスエリアモード
次に、「Speed Wi-Fi HOME l01s」の通信モードを「ハイスピードプラスエリア(HS+A)モード」に変更し、速度測定してみました。
下り:30Mbps程度
下り速度は変わりませんが、上り速度は10Mbps程度から25~30Mbpsへと大きく改善されました。
このように、通信モードが「ハイスピードモード」の時よりも上り通信速度が大きく改善されています。
ハイスピードモードとハイスピードプラスエリアモード
通信モードの「ハイスピードモード」「ハイスピードプラスエリアモード」はWiMAX2+通信サービスの用語です。
ハイスピードモードとは
「ハイスピードモード」はWiMAX2+の使い放題の通信モードで、周波数帯としては大容量データ通信に強い「WiMAX2+(BAND42)」が使われる通信モードです。
ハイスピードプラスエリアモードとは
「ハイスピードプラスエリアモード」はハイスピードモードの「WiMAX2+(BAND42)」に加えて、繋がりやすいauスマホの電波「au 4G LTE」も一緒に使われる通信モードです。
ハイスピードモードの動作
このことから、「ハイスピードモード」の設定でネクストモバイルを使った場合は、WiMAX2+(BAND42)と同じ周波数帯である「ソフトバンク4G(AXGP)」だけで通信している、と想定されます。
「ソフトバンク4G(AXGP)」の上り最大速度は10Mbpsなので、今回の速度測定での結果が「上り10Mbps程度」というのはそのせいでしょう。
「ソフトバンク4G(AXGP)」は大容量データ通信向けの通信サービスで、ソフトバンク・エアーやワイモバイルのPoket Wi-Fi(アドバンスモード)でも使われている通信サービスです。
つまりネクストモバイルをWiMAXルーターの「ハイスピードモード」で使う場合、ソフトバンク・エアーやPocket Wi-Fi(アドバンスモード)相当の通信サービスと言えます。
ハイスピードプラスエリアモードの動作
「ハイスピードプラスエリアモード」はWiMAX2+(BAND42)に加えてauスマホの電波も一緒に使える通信モードです。
ネクストモバイルの場合は「ソフトバンク4G(AXGP)」に加えて、繋がりやすいスマホの電波「ソフトバンク4G LTE」も一緒に使っていると想定されます。
この場合、おそらくですが「au 4G LTE」と「ソフトバンク4G LTE」の同じ周波数帯であるBAND1(2,100MHz帯)を使って通信しています。
ネクストモバイルでのハイスピードプラスエリア(HS+A)モードでの通信時に、ソフトバンク4G(AXGP)の上り最大速度10Mbpsを超えているのは「ソフトバンク4G LTE」で通信しているからでしょう。
この動作モード「ハイスピードプラスエリアモード」の場合に、ネクストモバイルでも上り速度が大きく改善されています。
ネクストモバイルでは「ハイスピードプラスエリアモード」で使おう!
WiMAX2+の場合、「ハイスピードプラスエリアモード」を使うためには「LTEオプション」という月額1,005円のオプションが必要です。
さらに、この「ハイスピードプラスエリアモード」での通信が月間で7ギガを超えてしまうと、WiMAX2+の使い放題の「ギガ放題プラン」であっても通信速度が128Kbpsに制限されるという仕様です。
ですが、これらの仕様・制限はWiMAX2+サービスの話しであり、ネクストモバイルには関係の無い話です。
ネクストモバイルは標準(月額料金内)で「ソフトバンク4G(AXGP)」と「ソフトバンク4G LTE」が使い放題です。
このため、ネクストモバイルをWiMAX2+向けルーターで使用する場合には、上り通信速度が大きく改善される「ハイスピードプラスエリアモード」での通信がベストだと言えます。
ネクストモバイルをホームルーターで使うメリット
安定して電波がつかめる
ホームルーターはモバイルルーターのようにバッテリー駆動ではなく、AC電源駆動です。
安定して大容量の電源を使えることで、一般的にホームルーターはモバイルルーターよりもしっかりと電波をつかみ、安定性・高速性が向上します。
有線LAN接続ができる
ホームルーターには一般的に有線LANポートがあります。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」にも有線LANポートが2ポートあります。ハブを使えばさらにポートを増やすことができます。
有線LANポートがあれば、スマホなどのWiFi機器以外にもデスクトップパソコンや家電(テレビやDVDレコーダーなど)も接続することができます。
モバイルバッテリーの劣化を防ぐ
外出先でも自宅でもネクストモバイルを使いたい、という場合に問題になるのが、モバイルルーターのバッテリー劣化の問題です。
ずっとネクストモバイル使用中であるため、多くの場合は自宅ではずっと充電中の状態になるでしょうが、これはバッテリーにとって大きな負荷となり劣化の最大の原因です。
ネクストモバイルのモバイルルーター「FS030W」は、バッテリーをはずした状態でもUSB給電しながら通信することができますが、これも少し面倒・・・
自宅ではAC電源で駆動するホームルーターを使いながら、別途モバイルルーターを充電することで、モバイルルーターのバッテリーを保護することができます。
ネクストモバイルにおすすめのホームルーター
標準ルーター「NEC HT100LN」はあまりおすすめできない
ネクストモバイルを契約するとモバイルルーター「FS030W」かホームルーター「HT100LN」が選べます。どちらも無料です。
残念ながらネクストモバイルのホームルーター「HT100LN」はソフトバンク回線との相性があまり良くありません。
「HT100LN」の対応周波数帯は以下のようになります。
WAN側 | LTE | BAND1(2.1GHz) BAND19(800MHz) BAND26(800MHz) |
---|---|---|
3G | 非対応 | |
LAN側 | 無線 | IEEE802.11ac/n/a/g/b 最大433Mbps(5GHz/ac時) |
有線 | 1000Mbps/100Mbps × 1ポート |
このように、「HT100LN」は「ソフトバンク4G LTE」のプラチナバンド「BAND8」に対応しておらず、「BAND1」のみでの通信となります。これは「Speed Wi-Fi HOME L01s」と同じです。
また「HT100LN」は「ソフトバンク4G(AXGP)」には対応しておらず、この点で「Speed Wi-Fi HOME L01s」に劣ります。
このため、ネクストモバイルの標準ホームルーター「HT100LN」はネクストモバイルにとってあまり良い選択肢ではありません。
Speed Wi-Fi HOME L01s
この記事でご紹介したように、WiMAX2+向けホームルーター「Speed Wi-Fi HOME L01s」はネクストモバイルでの使用におすすめできます。
詳細の対応周波数帯は公開されていませんが、「ソフトバンク4G LTE」のBAND1を利用できるし、なにより大容量データ通信に強い「ソフトバンク4G(AXGP)」のBAND42に対応しています。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」だと現在Amazonなどで実売5,000円程度で購入できるため、ネクストモバイル用にホームルーターを購入する場合にはおすすめのホームルーターとなります。
その他のWiMAX向けホームルーター
今回は「Speed Wi-Fi HOME L01s」がネクストモバイルで十分利用可能な点を検証しました。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」以外のホームルーターはどうでしょうか?
NEC製ホームルーター「WiMAX HOME01」は使用不可
WiMAX向けホームルーターとして現在NEC製の「WiMAX HOME 01」があります。
私は「WiMAX HOME 01」も所有していますが、残念ながら「WiMAX HOME 01」ではネクストモバイルを使用することはできませんでした。
「Speed Wi-Fi HOME L01s」を製造・提供しているHUAWEIの製品はSIMフリールーターですが、NECが製造・提供しているルーターはSIMロックが掛かっているからです。
同様にHUAWEI製モバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT W05/W06」はネクストモバイルで使用できましたが、NEC製モバイルルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX05」はネクストモバイルのSIMを認識しませんでした。
Speed Wi-Fi HOME L02
HUAWEIが製造・提供しているWiMAX2+向けの最新型ルーターが「Speed Wi-Fi HOME L02」です。
「Speed Wi-Fi HOME L02」は「L01s」をさらに高速化した作りになっており、「L01s」同様にSIMフリールーターです。
よって「Speed Wi-Fi HOME L02」もネクストモバイルで利用可と思われますが、まだ実売価格が高価であるため「Speed Wi-Fi HOME L01s」の方がおすすめと言えます。
Speed Wi-Fi HOME L01
「L01s」の旧型となるのが「Speed Wi-Fi HOME L01」です。
「L01」と「L01s」の違いは「auのVoLTEに対応しているか、対応していないか」という点です。
このため、両機が使用するSIMは異なります。「L01」は「VoLTE非対応SIM(マイクロサイズ)」で「L01s」は「VoLTE対応SIM(ナノサイズ)」です。
ただし、これはau系回線の場合の話しであり、ソフトバンク回線を使用するネクストモバイルには関係ありません。
ネクストモバイルから見た「L01」と「L01s」の違いはSIMサイズの違い、「L01」はマイクロサイズで「L01s」はナノサイズ、という点が異なります。
ネクストモバイルの「ソフトバンクマルチUSIM(F)」はSIM台紙から「標準」「マイクロ」「ナノ」の好きなサイズでSIMを切り取れるし、SIMスペーサーを使えばSIMサイズはどうにでもなります。
「Speed Wi-Fi HOME L01」も「L01s」同様にSIMフリールーターであるため、十分ネクストモバイルで使用できると思われます。
ネクストモバイルにおすすめのホームルーターは「L01s」
今回動作検証できたことで自信をもっておすすめできるのが「Speed Wi-Fi HOME L01s」です。
Amazonなどでの実売価格も5,000円程度と落ちてきているので入手しやすく、また本記事で検証したようにネクストモバイルで「ハイスピードプラスエリアモード」での通信時に上り・下り30Mbpsと十分な速度がでます。
自宅の電波状態が良ければ、さらに高速通信ができるでしょう。
現時点でネクストモバイルにおすすめのホームルーターは「Speed Wi-Fi HOME L01s」です。