ネクストモバイルの大きな魅力のひとつは「月間データ容量の上限以外に速度制限がない!」というのがあります。
「3日で3GB制限」や「3日10GB制限」など、月間でのデータ容量以外に短期間で大量にデータ通信した場合の速度制限などは一切ない、と謳っています。
これ、本当なんでしょうか?
短期間で一気に10GB以上のデータ通信をやってみて、速度検証をしてみたいと思います。
一般的な速度制限ルールの整理
ポケットWi-Fiの速度制限
ポケットWi-Fiはいくつかのサービスが提供されていますが、それぞれに通信速度制限のルールがあります。
まずは、サービスごとに速度制限ルールを簡単にまとめてみましょう。
WiMAX2+
ポケットWi-Fiの人気サービスが「WiMAX2+」です。
月間のデータ容量が7GBまでに制限されるプランを標準として、さらに「月のデータ容量に制限がない(無制限)」という「ギガ放題プラン」が人気です。
ギガ放題プランの速度制限
WiMAX2+の「ギガ放題プラン」は月に使えるデータ容量に上限がありません。どれだけ通信しても定額(4,380円程度)です。
この場合、月にどれくらい通信しても「最大708Mbps」という超高速通信が可能ですが、この「708Mbps」という速度はスペック上の速度であり、当然ながらここまでの通信速度は期待できません。
しかし一般的な利用においては全く問題ないと言える30Mbps程度は(電波状態が良ければ)常に出るサービスです。
WiMAX2+の通常のプランであれば、「月に7GBまで」の容量制限があり、この「月に7GB」を超過すると通信速度が128Kbpsに制限されてしまいます。
この「128Kbps」という通信速度では、ブラウザでYahoo!のトップページを開くことも困難となり、実質的には使えなくなります。
「ギガ放題プラン」の場合にはこの「月に7GBまで」という制限がなく、「使い放題」ですから使いすぎて128Kbpsに制限される、ということは基本的にありません。
ギガ放題プランの速度制限(3日10GBルール)
月のデータ通信量には制限のない(無制限)「ギガ放題プラン」ですが、細かな速度規制ルールがあります。
それが「3日で10GBを超過した場合には1Mbps程度に速度制限される」というルールです。
この1Mbpsという通信速度は標準画質の動画が見れるくらいのぎりぎりの通信速度であり、「3日で10GB」の通信をしたとしても全く使えなくなるわけではありません。
ハイスピードプラスエリアモードでの速度制限
WiMAX2+は「ハイスピードエリアモード」という通信モードと「ハイスピードプラスエリアモード」という通信モードがあります。
通常は「ハイスピードエリアモード」を使うことで、回線に比較的余裕のあるTDD-LTE(WiMAX2+)方式の通信により「使い放題」を実現しています。
WiMAX2+は比較的回線に余裕のあるTDD-LTE回線(WiMAX2+回線)を使って「使い放題」を実現しているサービスですが、このTDD-LTE回線(WiMAX2+回線)は物陰に電波が届きにくい、という特性があります。
たとえば、ビルの陰や室内の奥まった場所、地下街などです。
このような場所で通信をしたい場合に使うのが「ハイスピードプラスエリアモード」です。このモードはTDD-LTE(WiMAX2+)の電波が届く場所ではTDD-LTE(WiMAX2+)による通信を行い、TDD-LTE(WiMAX2+)の電波が弱い場所では自動的に「au 4G LTE(FD-LTE)」による通信を行うモードです。
WiMAX2+はこの「ハイスピードプラスエリアモード」を使うことで、電波の届きにくい場所でも快適に使うことができます。
しかし、この「ハイスピードプラスエリアモード」での通信が月に7GBを超えてしまうと「ギガ放題プラン」での契約であっても7GBで速度制限がされてしまい、通信速度は128Kbpsになってしまいます。
WiMAX2+速度制限のまとめ
- 「ギガ放題プラン」は月の通信量上限がない(使い放題)
- 「3日で10GB以上の通信」を行うと1Mbpsに速度制限
- 繋がりやすい「au 4G LTE」を使った通信では月に7GBまでに制限
ネクストモバイルの魅力を整理
「4G LTE」と「4G」が使える
ネクストモバイルはソフトバンクの2つの電波「ソフトバンク4G」と「ソフトバンク4G LTE」が使えます。どちらも標準(月額料金)内で大容量・無制限で使うことができます。
「ソフトバンク4G」は大容量データ通信に強いので「大容量・使い放題」に向いている反面、ビルなどの陰や地下街・地下鉄などが少し苦手な電波です。
「ソフトバンク4G LTE」はどこでも繋がりやすいスマホの電波ですが、音声通話でも利用されているため「大容量・使い放題」は少し苦手な電波です。
「ソフトバンク4G」はWiMAX2+で言うとWiMAX2+(BAND41/42)の電波と同じです。
「ソフトバンク4G LTE」はWiMAX2+で言うと、「LTEオプション(月額1,005円)」で使えるようになる「au 4G LTE」の電波と同じです。
ネクストモバイルはWiMAX2+だと月額1,005円の追加オプションとなる「繋がりやすいスマホの電波」が標準料金で使えるお得なサービスと言えます。
「隠れ速度制限」がない
WiMAX2+は毎月のギガ上限のない「ギガ放題プラン」を提供しています。月間のギガ上限は定められていませんが、実は「3日で10ギガを超えると1Mbpsへ速度制限」という短期使い過ぎの規制ルールがあります。
ネクストモバイルの魅力は、毎月のギガ上限以外のこの「短期使い過ぎによる速度制限が一切なし!」という点が挙げられます。
つまり、契約プランごとのギガ数(毎月のギガ上限)だけを注意していれば、それ以外はどんな使い方をしても速度制限にかかることはなく、いつでも快適な通信ができるサービスです。
ネクストモバイルの速度制限を検証
「3日で10GB以上」を使ってみる
検証してみたいのは、ネクストモバイルが公式ページでも公言している「3日で3GBや10GB以上使っても、速度制限が発生しない」という点です。
まぁ、公式サイトで公言しているくらいだから、おそらく本当に速度制限していないと思われますが、ここでは実際に短期間で10GB以上の通信を行ってみることで検証してみます。
検証方法
当初は「動画を垂れ流して10GBを使ってみる」という検証方法を検討しましたが、これがなかなか難しいわけです。
2時間ものの動画を少々見たくらいではデータ消費量はあまりありません。私みたいなサラリーマンでは連休でもない限り動画垂れ流して3日で10GBも通信できないことがまず判明します(笑)。
この時点で「3日で10GB制限」ってサラリーマンの日常利用であれば「よほどのことだ」と察することができます。
そこで、短期間で大量のデータ通信を行う方法として、レンタルサーバーへアップロードした巨大ファイル(1GB程度)を連続してダウンロードする、という検証方法をとることにします。
検証期間
10GBものファイルダウンロードにどれくらいの時間が必要か、やってみないとわかりませんが、おそらく1日で検証できるでしょう。
この場合、公式サイトでは「3日で3GBや10GBなど~」との記載もあるため、一応3GBのダウンロード達成および10GBのダウンロード達成時点で速度測定を行ってみます。
検証環境
今回は大量の巨大ファイルをダウンロードすることになるため、ノートパソコンをネクストモバイルのルーター(FS030W)にWi-Fi接続して検証してみます。
使用したデータ通信量はルーター(FS030W)本体の画面およびブラウザで見れる管理画面で確認します。
また、速度測定は「Radish Network Speed Testing」という速度測定サイトをノートパソコンから利用して計測します。
速度測定サイト | Radish Network Speed Testing
「3日で10GB制限なし!」を検証
検証内容
一気に10GBを消費する前に、公式サイトで宣言している「3日で3GBや・・・」という、まずは3GB制限を検証してみます。
初日は10GB検証のうち、6GBほどを消費してみます。
データ消費量の判定は(やっているとしたら)いつ判定するのかはわかりません。
なので、まずは当日中に6GBほど消費したうえで24時間ほど放置し、速度測定してみます。
検証開始時点のデータ消費量
まずは検証に先立ち、検証前の状況を確認しておきます。
検証前に使用したギガ数は送受信で合計約3.2ギガというところです。
検証開始時点の速度測定
また、検証前つまり速度制限を受けていないであろう時点でのネクストモバイルの通信速度も確認しておきます。
下り37Mbps・上り30Mbpsというところですね。
検証開始
では、早速レンタルサーバーへアップしているDVD/CDの巨大データファイルをダウンロードしてみます。大体ですが、1ファイルの大きさは1GBから4GBほどになります。
巨大ファイルをどんどんダウンロードしていきます。
検証中の速度測定
巨大ファイルのダウンロード中でも、速度測定アプリで上り・下り27Mbps程度の速度がでています。
別プロセスで通信中だからと言って、セション別に速度制限がかかることもないようです。
しかし、巨大ファイルのダウンロード中でもこの速度は速いですね・・・
予定ダウンロード終了
ダウンロード後の速度測定
では、予定していた「1日10GB」のデータ通信を行った後の通信速度を測定してみます。
これは「1日10GB」のデータ通信を行った翌日の速度測定結果です。
・下り:27.6Mbps
・上り:27Mbps
十分な高速、速度制限が掛かっているとは言えない速度です。「1日10GB以上のデータ通信」を行っても、速度制限はされないことを確認できました。
20GB以上を使ってみる
契約容量を超えた場合の速度検証
「フラット20GB」プランでは「1日10GB以上」のデータ通信を行っても、速度制限(128Kbps)を受けないことが確認できました。
では、この「フラット20GB」プランで20GB以上を使うとどうなるのでしょう?もちろん、月間のギガ上限を超えるので速度制限(128Kbps)を受けることになりますが、この時の動作を見てみます。
検証方法
現在、今月のデータ通信容量は10ギガを超えています。
このまま、前回同様にレンタルサーバー上のDVD/CDのイメージファイルをダウンロードし続けていきます。
「フラット20GB」プランでどこまでダウンロードができ、速度制限がかかってしまうとどうなるのか、を確認します。
20GB(契約容量)を超えても速度制限なし!?
前回同様、レンタルサーバー上のDVD/CDイメージファイルをどんどんダウンロードしていきます。
ついに20ギガ突破!
「フラット20GB」は月間のギガ上限が20GBのプランです。
しかし、巨大ファイルをどんどんダウンロードするうちになんと20ギガを超えてしまいました。
「20GB契約」で今月のデータ通信容量が「25.9GB」ということになります。
そしてついに速度制限
そして、さらにダウンロードを続けようとしたときに、ついに通信エラーが発生しました。
この時の速度測定アプリの計測結果でも「通信エラー」となっています。
ついに「フラット20GB」プランの上限を超えたための速度制限(128Kbps)を受けたようです。
その時の速度は速度測定アプリも動かないほどの低速となります。
検証結果
今回の検証で確認できたことを整理します。
検証結果1:「1日10GB」の制限はない
私が契約しているのは「フラット20GB」の月間20ギガまでのプランです。
今回はこの「フラット20GB」プランでの「1日10GB上限はありません」というネクストモバイルの宣伝文句を検証してみました。
「フラット20GB」プランでは、本当に「1日10GB以上のデータ通信」を行っても速度制限(128Kbps)を受けることはないことがわかりました。
検証結果2:月間のギガ上限を超えると超低速
月間のギガ上限を超えると、お約束通りの速度制限を受けました。
お約束だと「128Kbpsへ制限」となりますが、どうなのでしょうか・・・速度測定アプリさえもエラーになるくらいの低速に制限されました。
「128Kbpsよりもっと低速に制限」されている印象です。
検証結果3:データ通信容量はリアルタイム計測ではない?
私は「フラット20GB」プランでガンガン巨大ファイルをダウンロードして、ギガを消費していきました。
そしてデータ通信容量が20ギガを超え、なんと25.9ギガまで高速データ通信を続けることができました。
データ容量についてはリアルタイムで計測されているわけではないようです。また、速度制限されたタイミングを見ると「午前0時に判定」というわけでもなさそうです。
ネクストモバイルではギガの消費計測は、たとえば「1時間に1回」などの定期的に計測し、契約ギガ数を超えた通信を制限している、と想定されます。
まとめ
今回、ネクストモバイルの「月間の契約ギガを超えた場合以外、一切の速度制限なし」が本当かどうかを「1日で10ギガ使う」「さらに20ギガ以上を使う」ことで検証してみました。
まず、「1日に10ギガ」を使っても速度制限されることはありませんでした。
また、その翌日にさらに「1日に10ギガ」の「合計2日で20ギガ」を使っても制限されることはなく、なんと20ギガ契約で25ギガまで使えてしまいました。
おそらく、ギガの消費量はリアルタイム計測ではなく、「〇〇時間ごとに計測」という仕組みだと思われます。
また、最終的に速度制限されましたが、速度制限時の速度はお約束の「128Kbps」よりも遅い速度だと感じました。速度測定アプリでさえ「通信エラー」になる速度です。
- 「3日10ギガ」などの短期使い過ぎによる速度制限はない
- 契約ギガ数を超えると速度制限されるが、128Kbpsより遅いと感じる